いやす

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自然とつながる木の家

スギの木の扉を開けて足を踏み入れると、宿いっぱいに広がる天然木の香りと、思わず深呼吸したくなるようなすがすがしい空気。内装の木材はすべて県内産の無垢材(自然素材)で、池田町のアカマツの床をはじめ、スギ、ケヤキ、ナラ、ヒノキ、クリ、タモ、サクラの計8種類の木を使いました。

無垢材は集成材とは異なり、そのまま丸太から切り出した木材のこと。天然木本来のやわらかな風合いを持ち、室内の湿度を調整する働きもあります。割れやひびなどが入りやすい無垢材ですが、傷や色の変化も含めて、それが木の家の風情や味わいであり、物語になります。

地元で育った木はこの土地の気候風土にも合い、周りの風景とも調和して、室内にいながらまるで森林の中に佇んでいるかのよう。香り、風合い、肌ざわりが五感に働きかける木の家には、おだやかな空気が巡ります。

壁には漆喰を施し、塗装も天然素材がベース。自然の素材でつくられた家は体にやさしく、アレルギーをお持ちの方でも安心して過ごしていただけます。


木の名前の部屋でほっこりと

スギ、ケヤキ、ナラ、ヒノキ、クリ、アカマツ、タモ、サクラ。すべて宿の建材として使用されている木材です。8部屋ある客室にはこれら木の名前が付けられ、部屋のカギのキーホルダーもそれぞれの木材で作られています。宿内のどこかに使われている同じ名前の木を探してみるのも楽しいかもしれません。

お部屋はすべて趣が異なります。窓から見える景色を眺めながら、ご家族やご友人とゆったりおくつろぎください。

ベッドとトイレが付いたバリアフリーの洋間(さくら)も1階に1部屋ご用意しました。ご年配の方や車椅子の方にも安心してお過ごしいただけます。


人にも環境にもやさしい温かさ

環境のことを考えて、八寿恵荘ではCO2の排出を実質的に増やさない木質チップのボイラーを導入。主に「華密恋の湯」の給湯や床暖房に使用しています。床暖房は床下に張り巡らされたホースを流れる温水によるもの。輻射(ふくしゃ)暖房と呼ばれ、面からじんわり暖めるので体にやさしく、空気も汚しません。木の床の肌ざわりと自然のぬくもりを味わってください。

木質チップは、環境にやさしいことで最近改めて注目されているバイオマス燃料。製材の副産物や間伐材などを粉砕して作られています。燃やしたときに排出するCO2は、もともと木が成長する過程で吸収したものなので、大気中のCO2の増減に影響を与えることはありません。また、「らうんじ」には薪ストーブもご用意しました。ゆらゆらと揺れる炎は見ているだけで心癒されます。

寒い冬に訪れてくださるお客さまも快適に過ごしていただけるよう、八寿恵荘は温熱環境にもこだわって設計されています。断熱材を補強し、窓のサッシは熱伝導率の低い木製です。

外のコンテナで乾燥させた木質チップを、このオーストリア製のボイラーで燃やし、燃焼ガスで水を温め、パイプを通してタンクに溜めて、給湯や床暖房に使用しています


地産地消で山と地域を元気に

カミツレの里は、地域の森林の保護や育成を支援する森林(もり)の里親活動にも参加しています。八寿恵荘の建材には池田町産のアカマツや長野県産のスギなどを使用し、ボイラーの燃料となる木質チップにはアカマツの枯れ木やスギの間伐材を有効利用。そのほとんどを地元の木材でまかない、地産地消を心がけています。

アカマツは松くい虫の影響で枯れてしまうと、建材としては使用できませんが、それを燃料として有効利用すれば資源を無駄にすることはありません。木を活用するために間伐を行い、枯れ木を伐採し、そこにまた定植することで、山が元気になり、地域の林業が活性化し、自然のサイクルが回っていくのです。

八寿恵荘を支えているのはこの方たち

環境とつながる建築をコンセプトにする「ビオフォルム環境デザイン室」の山田貴宏さん(右)と鈴木隆史さん(左)。家づくりに対する山田さんの考えに共感し、八寿恵荘改築の際、設計をお願いしました。

池田町の建設会社「青い風」の高木満さん。八寿恵荘や工場の改築を手がけ、商品の什器の制作などをお願いしています。

「ラブ・フォレスト」の小島健一郎さん。木質チップボイラーの導入からメンテナンスを担当していただいています。

地元の「大北森林組合」の荻窪善明さん。建材から木質チップまで木材の調達を一手に引き受けてくださっています。

八寿恵荘コンセプト